
改正食糧法が、8日の参議院本会議で可決・成立しました。
この中で、コメについて生産者が 「需要に応じた生産」 に主体的に努力することが明記されました。この文言が議論を呼んでいます。どういう意味合いを持つのでしょうか。
Q.「需要に応じた生産」ということばが注目されているのはなぜなのでしょうか?
A.「政策転換ではないか」という指摘があるからです。
去年8月、石破前総理大臣はコメの安定供給に向けた関係閣僚会議で「コメの増産にかじを切る」と述べました。コメの生産が不足したことを受けて、増産することで問題を解消しようというねらいがありました。
しかし、増産すればコメの価格が大きく下がる可能性があるとして、一部の農業関係者からは批判が寄せられました。
その後、10月に高市内閣となり、就任した鈴木農林水産大臣は最初の記者会見で「需要に応じた生産」に言及し「これが基本だ」と述べました。その上で石破政権の方針の見直しかと問われ「それを見直しというふうに捉えるのであれば、見直しということになります」と認めました。
これが「政策転換」という評価が出ている背景です。
Q.「需要に応じた生産」というのは、当たり前のことのように感じます。どこが転換になるのですか。
A.たしかに文字どおりに受け止めると、商売上、普通のことを言っているにすぎません。
ただ、コメ政策では「需要に応じた生産」ということばは、特別な意味があります。
専門家のあいだでは、これはコメの生産調整、いわゆる 「減反政策」 のことだと指摘されているからです。
減反政策は2018年に廃止されましたが、コメは消費の落ち込みが続く一方、生産は堅調なため、生産者や農協の間では「作りたいだけ自由に作るとコメが余って価格が暴落するのではないか」という見方が根強くあります。
このため「需要に応じた生産」ということばが法律に入ったことで、国が生産者の不安の声に配慮してコメの価格を維持するために「増産」を目指す政策からかつての減反政策のように「生産を抑える」政策に再び戻るのではないかと疑われているのです。