제목   |  [11/08] “二刀流人材”の育成で生産性アップ 賃上げのヒントを探る 작성일   |  2023-11-02 조회수   |  24852

“二刀流人材”の育成で生産性アップ

賃上げのヒントを探る

 

 

物価は上昇。実質賃金はマイナス。

 

“持続的な賃上げ”は、日本経済の最大の課題とも言えます。でもいったいどうやって実現するのかーー。

 

地方の中小企業の取材からそのヒントを探ります。

 

(福岡局記者 中村成吾/徳島局記者 有水崇)

キーワード1 “二刀流人材”

福岡県柳川市に本社を置く従業員およそ400人の運送会社。

 

創業から69年にわたって企業向けに家具や家電などの配送サービスを行ってきました。

大小合わせておよそ250台のトラックを保有していますが、燃料費の高騰が経営を圧迫し、人手不足も深刻です。

 

荒巻哲也社長(56)は、業績はかろうじて黒字を確保できる程度だと言います。

 

しかし、そんな中でも、ことしの春に平均7%のベースアップを実現しました。

 

なぜ、賃上げができたのかーー。

 

その要因の1つが、会社が継続して取り組んできた“二刀流人材”の育成です。

 

例えば、こちらの男性。

ふだんオフィスでドライバーに行き先などを指示する「配車」担当の福山敬悟課長(32)です。

 

福山さんは、入社後に中型免許を取得し、3年前からはドライバーが足りない日にみずからトラックを運転して配送業務を担っています。

 

中型免許の取得費用のおよそ20万円は、全額、会社が負担しました。

福山敬悟 課長

「フォークリフトを操作する免許や、トラックの運行管理を行う資格なども持っています。ほかにも危険物の取り扱いや小型移動式クレーンの免許も持っています。今は“九刀流”くらいじゃないかと思います。たくさん資格を持っているので仕事のモチベーションにもなりますし、自信にもつながります」

この会社は、倉庫業も手がけていて、トラックドライバーにはフォークリフトの免許の取得を促し、必要に応じて倉庫内で荷物を運搬する作業をしてもらっていると言います。

“二刀流人材”=「複数の仕事をこなせる人材」をさらに増やすことで、社員一人一人の生産性を高め、人手不足の克服と持続的な賃上げの実現を図ろうとしているのです。

 

「柳川合同」の荒巻社長は、「燃料費の高騰は非常に痛手になっています。経営上、なかなか利益が出にくい状況です」と明かします。

 

ただ、賃上げについて聞くと次のように答えました。

荒巻哲也 社長

「ニュースを見ていて大手会社の経営者が『賃上げやります。これは投資だ』と言われた時に自分の心の中にストンと落ちて『経費じゃない。投資だ』と賃上げを決断できました。発注を受けるお客さんからもそして働いてくれる人からも選ばれないとこの先、生き残れない会社になるのかなと思います。賃上げは正直、経営的には苦しいです。ただ、やっぱりやらなければいけないことだと思います。企業の使命だと思うので、常に取り組んでいきたいです」

キーワード2 垣根を越えた交流で生まれる

こうした取り組みはホテル業界にも広がっています。

 

徳島市のJR徳島駅近くにあるJRホテルクレメント徳島では正社員や契約社員、それにアルバイトをあわせておよそ90人が働いています。

ことし4月から9月の客室稼働率は80%を超えてコロナ禍前の水準に戻りました。

 

しかし求人を出しても応募が少なく、人手が不足しています。

 

このため、本来、別々のスタッフが担当する2つの業務を1人で兼務しています。

 

正社員として働く入社8年目の久米川巨樹さん(48)の担当は、ホテルの宴会場を管理するリーダーです。

料理の配膳やスタッフの配置、宴会前の備品の最終チェックを行い、大勢のスタッフをまとめ上げて大規模なパーティーなどを取りしきるノウハウが必要とされます。

 

その一方で、バーテンダーの仕事も兼務しています。

お酒の専門的な知識や接客の技術が求められ、宴会とは別のスタッフが担当しますが、ソムリエの資格を持ち、バーテンダーだったことがある久米川さんに白羽の矢が立ちました。

久米川巨樹さん

「宴会では統率のとれたサービスが、バーでは1人1人に寄り添うことが大事なので、気持ちの切り替えを大切にしている。本来は専属で行うべきかもしれないが、会社はマルチタスク化を進めている。最初は戸惑いもあったが、自分の体験を部下に教えるためにも、まずは自分がどんどんチャレンジしたい」

1人2役を務めるのは久米川さんだけではありません。

 

ホテルの日本料理店の店長とカフェの店長の2人もバーテンダーを兼務しています。

 

とはいえ、3人の本職である宴会部門や日本料理店なども人手が十分な訳ではありません。

 

ホテルは、予約状況やスタッフの勤務状況などを総合的に考慮しながら、業務をやりくりして、ギリギリの人員体制でサービスの質を維持しているといいます。

 

このため、ホテルはことし春、初任給の引き上げや、契約社員も含めた食事手当など福利厚生の拡充に踏み切りました。

 

今後は、人手不足の長期化に備え、賃上げや待遇面などでさらにスタッフが働きやすい体制を検討していくことにしています。

木内利香 総支配人室長

「人手不足は続いているが、サービスのレベルを落とすことは考えていないので、いかにサービスを保つのかを考えたときにこの取り組みを始めることを決めました。コロナ禍前から社内ではセクション間の垣根を越えた交流を続けてきたのでそれが生かされている部分もあります。その一方で人手不足の解消に向けて求人への応募を増やすためにワークライフバランスの充実や賃上げなどを検討していきたい」

キーワード3 生産性をどう高めるか

物価の上昇が続く中、賃上げを持続させるためには生産性を高めて企業の利益を向上させることが欠かせないといえます。

 

今回、取材した“二刀流人材”の育成。

 

複数の仕事を担うことで従業員の負担が大きく増えてはいけませんし企業側のサポートも重要だと思います。

 

人手不足を乗り切ろうという企業の知恵から生まれた取り組みについて今後も取材を続けていきたいと思います。

 

(10月24日「おはよう日本」などで放送)

 

 

 

リンク; https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231026/k10014237391000.html

 

 

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