「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられた問題をめぐって、安倍総理大臣は参議院予算委員会で、行政全体の信頼を揺るがしかねない事態だとして陳謝しました。また安倍総理大臣は、書き換えられる前の文書でも、みずからや夫人の昭恵氏が関与していないことは明らかだと強調したほか「文書の書き換えを指示したことはない」と述べました。
この中で自民党の西田昌司氏は「改ざんは許しがたい。正しい情報を国民に伝え、政策判断をしなければならないが、財務省の今の体質でできるとは思えない。政治が官僚に牛耳られ、官僚に情報操作されているというのが問題の根本的なところではないか」と質問しました。
これに対し安倍総理大臣は「行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態となっており、行政の長として責任を痛感している。改めて国民の皆様に深くおわびを申し上げたい」と陳謝しました。
そのうえで「全容を明らかにするための調査を進めるため、麻生副総理兼財務大臣にはその責任を果たしてもらいたい。また全容が明らかになった段階で組織の立て直しに取り組まなければならず、麻生大臣に取り組んでもらいたい」と述べました。
また、みずからが書き換えの報告を受けたのが今月11日だったと説明するとともに、「書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないことは明らかだ。私や妻が国有地の払い下げや学校の認可に事務所も含めて一切関わっていないことは明確にしたい」と述べました。
さらに書き換え前の文書に、森友学園側から「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を現地に案内し、『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」と発言があったと記述されていたことについて、安倍総理大臣は「妻に確認したが『そんなことは言っていない』ということだった」と述べました。
また安倍総理大臣と麻生副総理兼財務大臣はそれぞれ「文書の書き換えを指示したことはない」と述べました。
公明党の横山信一氏は「国民がこのような大それたルール違反を財務省理財局だけの判断でできるのかという疑問を持って当然だ。もっと別の力が働いたのではないか、上からの指示があったのではないかと考えるのが普通だ」と指摘しました。
これに対し麻生副総理は「書き換えは、国会対応を担当する当時の理財局の一部の職員が行ったものだと想像され、不当な圧力等々ではないと思う」と述べたほか、安倍総理大臣も「国民から厳しい目が向けられていることを真摯(しんし)に受け止めている。今後とも、国会審議の場などを通じてしっかりと説明責任を果たしていきたい」と述べました。
一方、財務省の太田理財局長は一連の書き換えについて「国会で答弁していたのは佐川前局長だ。佐川前局長の関与は大きかったのではないかと思っている」と述べました。
また財務省が今月5日に国土交通省から書き換え前の決裁文書の写しの提供を受けていたにもかかわらず、国会に報告していなかったことについて、太田局長は、財務省では情報を確認できずに捜査当局に問い合わせるなどした結果、報告が遅れたと釈明しました。
 
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【単語】
1.売却:売り払うこと
2.書き換え:書き直す。書き改める。
3.陳謝:事情を述べてあやまること。
4.牛耳る:団体・集団などの運営を自分の意のままに支配する。
5.揺るがす:揺り動かす。ゆさぶる。振動させる。
7.痛感:強く心に感じること。身にしみて感じること。
8.責任を果たす:自らに課せられた義務や責務を終えること。
9.払い下げる:官公庁などが、動産・不動産を民間に売り渡す。 
10.真摯:まじめで熱心なこと。また、そのさま。
11.釈明:自分の立場や考えを説明して、誤解や非難を解き、理解を求めること。
 
【質問】上の記事を読んで次の質問も答えてください。
1.記事の疑惑の内容について話してください。
2.安部総理が強調していることは何ですか?
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